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ラムとマトンの違いがわからないなんて!とおこられるかもしれません。ラムは羊の最高級肉でマトンよりも若い羊の肉であることはよく知られています。正確には、マトンは生後20ヶ月以上の羊の肉、ラムは生後1年以内の羊の肉をいいます。さらに細かい区分では、生後60〜120日までのものをホットハウス、120〜1年未満のものをスプリング、生後1年から2年未満のものをイヤリングといいます。ラムはマトンに比べて臭いが少ないことが知られていますが、臭いが草の臭いに影響されるために、草を食べている期間が少ないラムが臭いが少ないことによるものです。マトンをおいしく食べるこつは、脂肪をのぞくことです。また、ラムよりも煙が多くでるので、焼いて食べるときは要注意です。また、若い羊の肉ほど色が淡い特徴があります。 今回はおいしい肉を選ぶポイントをご紹介しましょう。 1.牛肉 ・つやがあること。 ・色は鮮紅色で切り口のきめが細かくしっとりしているもの。 ・脂肪の部分は白色、または乳白色で適度な粘りがあること。 ・脂肪と赤身の境目がはっきりしていること。 ・水気が多くトレーの底に肉汁がたまって黒ずんでいるものは買わない 肉汁がたまっているものは、肉になった牛の肥育度(肥え具合)が低い、言い換えれば食べ盛り・育ち盛りの牛をと殺したものである可能性があります。育ち盛りの牛の肉は水っぽく、約と焦げ付くばかりかパサつきます。 また、水気が多い肉は日持ちが悪いので注意しましょう。 ・料理にあった肉を選ぶこと(この点は別の機会にご紹介します) ※パックの底に脂身がないか気にする方もいるでしょうが、スライスする工程の関係上、脂身はパックの下の方に向いてしまいます。 2.豚肉 ・つやがあること。 ・肉色はやや灰色がかった淡いピンク色のもの。 よく運動していたもも肉や肩肉は、肉のきめがやや粗く、肉色は赤身の強いピンク色です。 ※処理後時間が経つにつれピンク色が退色したり、灰色が強くなります。 ・パックに肉汁がたまっていないもの 水気が多い肉は日持ちが悪いので注意しましょう。 ・脂肪が白く均等についていること 脂肪が黄色っぽいものは風味が落ちます。 ・赤身に少しサシ(筋肉の間の脂肪)があればおいしい 3.鶏肉 ・つやのあるもの。 ・肉色がピンク系のもの。 ※鮮度が悪いと、色が退色して黄色っぽくなり、肉に張りが無くなってきます。 ・水気の多いものはさける 水気が多い肉は日持ちが悪いので注意しましょう。 ・臭いの強いものは鮮度が悪いのでさける ・皮は黄色いものがよい ※古いものは皮の色が白くなります。 ・骨付き肉は骨の細いもの ・皮付き肉は皮が薄く、脂肪の少ないもの 4.羊肉 ・水気の多いものはさける 水気が多い肉は日持ちが悪いので注意しましょう。 ・脂肪が光沢のある準白色のもの ・きめの細かいよく締まったもの 今回は、肉をおいしく食べるポイントをご紹介しましょう。まず、肉を高い温度にさらさないように肉を買ったら寄り道せずにまっすぐ帰り、家についたらすぐ冷蔵庫か冷凍庫に保存しましょう。肉は温度が高いと、短時間腐敗します。そのときに注意したいのが詰めすぎです。冷蔵庫や冷凍庫の中にものを入れすぎると、冷気の流れが邪魔されて温度が下がらなくなってしまいます。家庭用冷蔵庫は開け閉めが激しいので、意外に冷えていないことがあります。冷蔵庫を過信しないよう注意しましょう。 保存期間の目安は冷蔵で、 牛肉 スライス(3日)、ブロック(5日) 豚肉 2〜3日 鶏肉 もっても翌日(可能な限りその日のうちに調理する方がよいです) ※鶏肉は水分が多く日持ちがしないので、市販の脱水シートに挟んで冷蔵するとよいでしょう。脱水シートは水分だけを吸収し、うま味成分などは吸い取らないので便利です。 ひき肉 その日のうち ※肉は日持ちしない順に 鶏肉、豚肉、馬肉、羊肉、牛肉となります。ただし、お勤め品などは上の期間にこだわらず早く使いましょう。また空気に触れる面積が多いほど日持ちしません。ですからスライス肉や挽肉は早く消費しましょう。冷蔵する場合は空気に触れさせないようにしましょう。空気中の酸素による酸化や微生物による腐敗を避けるためにも、衛生的にラップで包み直し、保存用の袋や容器に入れることをおすすめします。冷蔵庫は下の方がよく冷えるので、下の方に保存します。 核家族化が進み、生活が不規則な今日の事情を考えれば冷凍して長期保存することはさけられません。ただし、家庭の冷凍庫は、業務用よりも冷凍能力が低いことを考慮しなければなりません。 家庭用の冷凍庫で肉を冷凍した場合、風味を考えれば冷凍保存は1ヶ月が限度だとお考えください。冷凍でもっとも避けたいのは、凍結解凍の繰り返しです。肉の組織が壊れて肉汁が流れ出してしまう(専門用語でドリップが出るといいます)ばかりか、肉自体がパサパサになります。ですから凍結・解凍が一回だけですむように必要な分量に小分けしてラップやポリ袋で二重三重に包んで、(できれば密封容器に入れ)冷凍します。フリージングバッグも便利です。冷凍庫とはいえ酸化は進みますし、冷凍・冷蔵庫は、温度が低いため乾燥条件にあります。そのため密封していないと酸化と脱水がどんどん進んでしまいます。冷凍肉を買ってきてそのまま冷凍するのも良い方法です(冷凍肉は業務用冷凍庫で急速凍結されているので、冷凍保存に向きます)。 解凍する場合は、冷蔵庫に凍結した肉を3〜4時間おいておき(肉の大きさや形によっては解凍時間が変わりますのでご注意を)、指で押してみてまだ芯の方が少し凍っている半解凍状態にします。完全に解凍するとドリップが出るので要注意です。急ぐときは室温もしくは電子レンジで解凍しましょう。水やお湯につけて解凍すると、うま味が逃げてしまいます。 食品添加物についてご紹介する最後の回です。食品添加物の使用基準、例えば安息香酸類は清涼飲料水、シロップ、しょう油には1kg当たり「安息香酸」として0.6g以下、ソルピン酸類は魚肉練り製品、食肉製品には1kgあたり2g以下と規定されていますがそれはどのようにして決められるのでしょう?それを知るには前回に予告していました最大無作用量、一日摂取許容量(ADI)を知る必要があります。 ・最大無作用量 人に対する影響を推定する第1段階が実験動物による最大無作用量の決定です。前回ご紹介した各種動物実験では、一試験ごとに実験動物を数群に分け、それぞれ異なった濃度の食品添加物を含む飼料を与えて試験が行います。試験でまったく影響が観察されなかった群のうち、最高量の食品添加物が与えられた群への投与量から、最大無作用量が求められます。最大無作用量は、体重1kg当たりのmg量(mg/kg体重)として表されます。 ・1日摂取許容量(ADI) 最大無作用量をもとに、人と実験動物との動物種の差などの条件を加味して、人がその食品添加物を一生涯毎日摂取しても影響を受けない量である一日摂取許容量(ADI)を求めます。一般には、実験動物から得られた最大無作用量に、実験動物と人との動物種の差として10倍、人の年齢、性別、健康状態などの個人差として10倍、総合的に計100倍の安全率を見込んで決められています。簡単に言えば最大無作用量の100分の1の量がADIです。ADIは、体重1kg当たりのmg量(mg/kg体重)として表されます。 以上をもとにして、食品添加物の使用基準を決めます。食品添加物の使用量や使用可能なものについては、食品衛生法の「食品,添加物等の使用基準」により規制されています。 使用基準は、国民栄養調査や食品の生産量、輸入量、消費量、家計調査などのデータなどにより、各食品の平均摂取量を調べてその値に摂取係数(2〜10)をかけて最大摂取量を決めます。次に最大摂取量に食品添加物の含有率をかけ、摂取量がADIを大幅に下回るよう考慮して、それぞれの食品添加物毎に使用を認める食品(対象食品)と許容量(最大限度量)や使用方法(使用制限)を定め、遵守することが義務付けられています。使用基準は、食品添加物公定書に明記されます。 みなさんは食品添加物が食品衛生協会で行われる安全性と有効性の評価を受けて指定されるのを御存知でしょうか?安全性試験とはどんな項目が行われているのか興味がおありかと思います。今回はその安全性試験についてご紹介しましょう。 安全性試験は次の10種類の試験が行われます。これらの試験データから最大無作用量と一日摂取許容量が求められます。この二つの量は食品添加物にとって重要な数字ですが、その意味合いについては説明が長くなるので次回にご紹介しましょう。 1.急性毒性試験:様々な量の試料を1度だけ与えて毒性が現れるか調べる試験です。毒性が現れた場合どの臓器に異常が認められたかも調べます。この試験で半数致死量(LD50、試験動物の半数が死亡する投与量)が求められ、試料の毒性を大筋でつかみます。 2.亜急性毒性試験:実験動物の寿命の約10分の1(ラットなら約3ヶ月)の期間試料を投与して毒性が現れるか調べます。この試験から慢性毒性試験の投与量を決定することもあります。 3.慢性毒性試験:実験動物のほぼ全生涯にわたって試料を与えたときに毒性が生じるか調べます。試料の量は様々に設定して試験します。 4.変異原性試験:平たく言えば遺伝子への影響を調べます。細菌を用いる試験やほ乳類の培養細胞による染色体異常試験などがあります。 5.発ガン性試験:実験動物のほぼ全生涯にわたって試料を与えたときにガンが生じるか調べます。慢性毒性試験と同時進行で行われることもあります。 6.繁殖試験:試料が生殖腺機能、受胎から分娩、哺育、離乳、出産後の新生児の生育にわたって影響を与えるか試験します。 7.催奇形性試験:妊娠した動物に投与し、胎児の形態に影響を与えるか試験します。 8.その他の毒性試験:抗原性試験(体内に取り込まれたとき生体異物(抗原)として認識されるか)などがあります。 9.吸収・分布・代謝・排泄に関する試験:食事からどのように体内に吸収され、どのような分布をして代謝され体外に排泄されるか、言ってみれば口に入れてから排泄されるまでの添加物の動きを追跡する試験です。 10.一般薬理試験:薬理作用(中枢神経系や自律神経系、消化酵素の働きへの影響など)に関する試験です。この試験には一般毒性試験、特殊毒性試験、吸収・分布・代謝・排泄に関する試験は含まれません。 このように食品添加物は数多くの難関をくぐって初めて指定されるのです。 今回は前回に続いて、食品添加物の果たす食品の変質腐敗を防ぐ、食品の風味を改良する役割について御紹介しましょう。 3.食品の変質腐敗を防ぐ 食品の変質の2大要因は、微生物による食品の劣化と空気中の酸素による食品の酸化です。この2つの作用を防ぐために食品添加物が使われます。 @保存料‥・食品中の微生物の発育を止める、あるいは増殖するのを遅らせる(静菌)作用があります。保存性を高めるためには、従来からの保存方法(pHを下げるなど)と保存料を組み合わせて使うのが最も効果的です。最近は、低塩化や低カロリー化による砂糖の使用量減少などで食品が腐敗しやすい傾向にあるため、保存料の使用が重要になってきました。保存料は使用してもよい食品と使用量の最大限度が食品衛生法によって決められています。 例:しらこタンパク、ε−ポリリジン、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム A酸化防止剤…油脂や油脂を含んだ食品を保存しておくと、空気中の酸素によって油脂が酸化される”油焼け”が生じます。油焼けは、単に色・味・香りといった風味が劣化するだけではなく、酸化した油脂が消化器障害を起こし、食中毒の原因にすらなることがあります。酸化防止剤は酸化を防ぐために加えられます。 例:ビタミンE(トコフエロール)、ビタミンC(アスコルピン醸)があります。 ※油脂の酸化の程度は、過酸化物の量を表す過酸化物価(POV)と酸価(AV)で示され、油性食品の過酸化物価は30以下、酸価は3以下と決められています。 4.食品の風味を改良する @着色料:食品本来の色合いを保ち、さらに、食欲をそそるような色調にするため、使われるのが着色料です。着色料は少量で変色しにくい色調を与えるため、広く食品に使われています。合成着色料(化学合成により製造される)と天然着色料の2つがあります。日本では、合成着色料の鮮やかな色より、天然着色料の淡い色が好まれるようです。使用基準が定められており、生鮮食品への使用は認められていません。 例 合成着色料:食用赤色2号、食用黄色4号、銅クロロフィリンナトリウムなど 天然着色料:クチナシ黄色素、カラメル、紅麹色素、アナトー色素、ラック色素、赤ビート色素など A発色剤…食肉、魚卵製品を赤く発色させるために使われます。同時に保存料としての作用もあり、ボツリヌス菌による食中毒の予防に役立っています。 例:硝酸塩、亜硝酸塩 B漂白剤‥・食品の色をきれいにするにめに、漂白剤が使われることがあります。これらはすべて使用基準が定められています。漂白剤には、保存料や酸化防止剤としても使われるものがあります。 例:亜硫酸ナトリウムと次亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄なと C光沢剤‥・キャンディーやチョコレート、ゼリー・ピーンズ、チューインガム、錠菓などにつやを付けるとともに、中身を保護します。 例:植物ワックス、カルナウバロウ、シェラック、ミツロウ など D酸味料・・酸味によって食品の味をととのえるためだけでなく、清涼感を増すために使われます。 例:酢酸(酢の主成分)、クエン酸(ミカンなど柑橘類の酸味の主成分)、酒石酸(ブドウの酸味の主成分)など E甘味料…甘味をつけるために使います。砂糖など糖質系とその他の甘味料に分けられます。糖質系甘味料はカロリー、味の質(甘みの持続時間と強さ)が異なった様々なものがあります。その他の甘味料は甘味度が高いものが多く、少量で砂糖と同じ甘さが得られるため、ダイエット食品や糖尿病患者の低カロリー甘味料や虫歯予防に使われます。 糖質系甘味料:砂糖、麦芽糖、ブドウ糖など その他の甘味料:ステピア抽出物、甘草抽出物、ソーマチン、モネリン、ステビアなど F調味料…調味料には、アミノ酸系、核酸系、有機酸系、無機塩類の4つがあります。 例: アミノ酸系:L−グルタミン酸ナトリウム(昆布のうま味) 核酸系:5−イノシン酸二ナトリウム(かつおぶしのうま味)、5−グアニル酸二ナトリウム(椎茸のうま味) 有機酸系:コハク醸ナトリウム(貝のうま味) 無機塩類:塩化カリウム(塩味) G香料:食品に香りを与えるために使われるのが香料です。 例:レモン香料、アップル香料、バニリンなど 食品には身近でありながら知っているようで以外に知らないと思われること、誤解されていることなどが数多くあります。食品添加物はそんなものの典型といえるかもしれません。食品添加物は,そのまま食べたり,食品原料として使われるのではなく、食品の製造・加工・貯蔵に必要なため使用されています。食品添加物には,化学的合成品の合成添加物と化学的合成品以外のいわゆる天然添加物とがあります。 天然添加物は,植物の花,実,種子や樹皮,樹液などを原料としたものが最も多く利用され,粉砕,蒸留,水やアルコールそのほかの溶剤で抽出するなど,主に物理的方法で特定の成分を取り出したものです。 平成7年5月に食品衛生法が改正され,天然香料などを除く天然添加物も,厚生大臣の指定対象となり、翌年5月には,天然香料などを除く天然添加物について,既存添加物名簿(489品目)が公示され,リストにない天然添加物は使用できなくなりました。食品添加物を使用した場合は、合成、天然の区別なく原則としてすべて表示することになっております。 そこで今回は食品添加物の果たす役割について御紹介しましょう。食品添加物の働きは大きく分けると4つに分かれます。食品の物性を改良する、食品の栄養を強化する、食品の変質腐敗を防ぐ、食品の風味を改良するの4つです。今回は前者2つについてご紹介しましょう。 1.食品の物性を改良する 物性というと難しく聞こえますが、要は柔らかさ、硬さ、しなやかさ、しっとり感などをいいます。添加物は歯ごたえを出したり、保水性を持たせる、水と油を馴染ませる、膨らますなどの働きによって食品の物性を改良します。代表的なものに次の9つがあります。 @豆腐用凝固剤:豆乳を固めて豆腐を作るときに使います。 例:にがりやグルコノデルタラクトン(GDL)、すまし粉など Aかんすい:ラーメンにコシと特有の黄色い色を与えます。 成分:リン酸塩や炭酸塩が主成分です。 B乳化剤:本来混じり合わない水と油を均一に混合するために添加します。 例:ポリグリセリンエステル、しょ糖脂肪酸エステル、レシチン、サポニンなど C膨張剤:食品をふっくら膨らませる働きをします。ドーナツやカルメ焼きでおなじみですよね。 例:重曹、ふくらし粉、ベーキングパウダーなど D油脂抽出剤:植物の種を圧搾して油を搾油し終わったあと、完全に油を抽出するために使います。かつては油粕に3割ほど脂が残っていましたが、油脂抽出剤で完全に油が抽出されます。ちなみに食品衛生法では使用した油脂抽出剤は完全に除くよう定められています。 例:ヘキサン E増粘剤、安定剤、糊料:食品になめらかさや粘り、とろみを与えるために添加します。 例:アルギン酸、CMC(カルボキシ・メチル・セルロース)、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、ペクチンなど F酵素:味噌、醤油、ビール、チーズなどの発酵食品は微生物や動物、植物由来の酵素の働きで作られます。分離精製された酵素は製造過程で使われる場合があります。 例 アミラーゼ(デンプンを糖化する働きがあり、デンプンから水飴を作ったり、デンプンの老化によって食品が固くなるのを防ぐのに使われます) プロテアーゼ(タンパク質を分解する働きがあります。パパインやブロメラインは肉を柔らかくするため、レンネットは牛乳からチーズを作るのに欠かせません) 2.食品の栄養を強化する 食品の栄養成分で不足しているものを補う、あるいは特定の栄養成分を多く摂取できるように加えられるものです。 @ビタミン:水溶性(アスコルビン酸、ビタミンB群、パントテン酸など)のものと脂溶性(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEなど)のものがあります。 Aアミノ酸:栄養強化に使われます。 例:L−リジン塩酸塩やL−スレオニン、L−トリプトファンなど Bミネラル:カルシウム類、鉄類、亜鉛類、銅類が使われます。 ここ数十年値段がほとんど変わらず、物価の優等生といわれ、私たちの食生活に深くとけ込んでいる卵。その卵の意外な話をご紹介しましょう。 1.秘技・黄身返しの術 江戸時代の本に”万宝料理秘密箱・卵百珍”(1785年刊行)という卵料理を数々集めた料理書があるそうな。その中に黄身が外側、白身が卵の真ん中にあるような不思議なゆで卵が登場します。これを”黄身返し卵”といい、この本に出てくる料理の中で唯一再現できない料理とされていました。その作り方は”地卵の新しきを針にて頭の方へ一寸ばかり穴をあけ、糠味噌へ三日ほどつけおきて煎貫にすれば中身の黄身が外へなり白身が中へ入いりて、是を黄身返しといふ。”と書かれているのみです。その黄身返し卵の再現に京都女子大の八田研究室が成功したというのです。地卵の新しき=有精卵、糠味噌へ三日=孵化を進めると解釈し研究するとおもしろいことがわかったというのです。孵化3〜4日日の卵中では、卵白の水分が卵黄へ移動するため卵黄と卵白の粘度が逆転するのです。この状態の卵に外から針で突いて卵黄膜を破ってからゆでると、卵黄が卵白を包み込んでから固まるつまり、黄身返し卵になるというのです。さすが科学は奥が深い! 2.卵を微生物処理? 卵白粉末って御存知ですか?その名の通り卵白を乾燥させたもので、熱凝固性を利用して水産練り製品や畜肉製品などに、起泡性が製菓製パンに利用されています。卵は完全食品にきわめて近いと言われるように栄養価に優れ、そのため微生物汚染がないように注意が払われています。ところがこの卵白粉末は微生物の力無くしてはできないものなのです。卵白には遊離(タンパク質など他の物質に結合していないこと)のグルコースが0.5%程度存在します。卵白を何の処理もせずに乾燥して粉末にしてしまうと、保存中にメイラード反応(第55話参照)が進んでひどく褐変するだけでなく、タンパク質が不溶化して使い物にならなくなってしまいます。そこで、卵白粉末を製造する前には、卵白中のグルコースを除く脱糖処理をおこないます。脱糖処理の方法には、細菌発酵法、酵母発酵法、酵素法の3つがあります。細菌発酵法は、グルコース資化能が強い細菌(Aerobacter aerogenusやStreptococcus lactis など)を純粋培養して卵白液へ接種します。細菌はグルコースを乳酸へと変えてくれます。酵母発酵法は、細菌の代わりにパン酵母(Saccharomyces cerevisiae )を使う方法で、この場合はグルコースがエチルアルコールと二酸化炭素に変わります。酵素法は、卵白液にグルコースオキシダーゼと力タラーゼおよび過酸化水素を添加し、酵素的にグルコースをグルコン酸に変える方法です。”何だ!この方法じゃ微生物を使わないじゃないか!!”と思う方もいるかもしれませんがそういうのはまだ早いのです。酵素法で使われるグルコースオキシダーゼは、カビが生産したものを分離精製したものなのです。やはり微生物の力は欠かせません。細菌発酵法や酵母発酵法で脱糖処理した卵白はそのままでは菌数が高すぎて使えません。そこで乾燥後の卵白粉末を50〜 65℃程度の温蔵庫で5 〜 10日間放置する温蔵殺菌が行われます。 タコとイカの違いは?と訊いたら、タコは足が8本、イカは10本と答えるでしょう。大枠はあっているのですが、厳密にいうと違います。イカの一種のタコイカやヤツデイカは、その名の通り足が8本しかないです。イカに特有と思われるヒレも、深海にすむタコにはヒレがあるものもいてこれも違います。イカの吸盤は足と筋肉質の柄でつながっていてかなり自由な動きができます。さらに吸盤の中には角質環というとげとげのついた硬い環のような構造があります。一方、タコの吸盤は足に埋め込まれたようになっていてあまり動かず、角質環はありません。さて、イカなのに足が8本しかないタコイカやヤツデイカは、生育当初は足が10本なのに成長すると足が8本になることが知られているとか。なぜ足が減るのかは未だに謎です。さて、みなさんが足といっている部分はるのに対し、腕に当たります。でも腕がすべて同じ形ではないことを御存知ですか?イカの腕は8本の腕の他に触腕と呼ばれる2本の腕があります。この腕は獲物を捕まえるのに使う専用の腕なのです。触腕は筋肉質でよく伸び縮し、先端にだけ吸盤がついた平べったい部分があります。さて他に特殊な腕がないかというと実は雄にはあります。その話は機会を改めてご紹介します。 私が生まれ育った北海道・函館はイカの水揚げ・加工で有名な街です。子供の頃から新鮮なイカをよく食べていました。そんなわけで、今回はイカにまつわるいろんな話題を紹介したいと思います。 <空飛ぶイカの物語> 空飛ぶイカなどと書くと、活イカを飛行機で運んでいる話だと思われるのでは?実は違います。スルメイカ類は英語でflying squid(”空飛ぶイカ”という意味)などと呼ぶくらいです。イカがほんとに空を飛ぶのです。世界一のイカ消費国でかつ世界一のイカ漁獲量を誇る日本でもイカが空を飛ぶことは知られていないのだそうです。これまでの数少ない観察例では、小型のイカが編隊を組んで、海面上1〜3mを10〜20mにわたって滑空するのだとか。飛行時間は3〜5秒にも及ぶとか。イカでも空を飛ぶのは小型のイカと考えられています。さて、イカたちはなぜ空を飛ぶのでしょう?小型のイカはマグロ・カジキやサメ、イルカなどから逃げるために空中を飛ぶのだと考えられています。ではイカがどうやって空中を飛ぶのかといいますと、イカはまず体についている漏斗部や体の隙間などから水を勢いよく噴射し、空中にジャンプします。そして、俗にヒレと呼ばれている部分を尾翼にして、ヒレを先頭の方向にして滑空していきます。主翼は足を広げて作られた膜状の折り畳み翼で、膜は粘質物でできています。 <イカの足に秘密あり> イカの足、特に雄のイカの足(腕)にちょっとした秘密があるのを御存知ですか?イカの生殖の仕方はちょっと変わっています。その変わった生殖方法のために、なんとイカの雄はスナイパー(狙撃手)並の射撃の腕を求められるのです。しかもデリケートさも要求されるのです。イカの精子は楊子ぐらいの大きさ太さのカプセル(精包)に詰まっていて、そのカプセルを雌の体内に挿入する、と言うよりも打ち込むことで生殖するんです。なんとそのカプセルには同時に雌の体内に入ったらはずれることがないように、セメント体という粘着器も充填されているからすごい。さらに勢いよく雌の体内にめがけて発射するためにバネと引き金のような構造までついているというから二度びっくりです。雄の触腕を除く8本の腕のうち、一本は交接腕と呼ばれる特別な腕を持っています。イカの精包を硬い角質環が付いた吸盤でびっしりの腕で持とうものなら、精包に仕掛けられたバネが働いてしまって雌には届けられません。そこで、交接腕は精包をソフトに包み込むようにつかめるような構造になっているのです。イカは精包を持った交接湾を雌に近づけるとバネの引き金を引いて、精包を雌の体内に向けて発射します、そして雌の体内に着弾した刺激でセメント体が働きその場にしっかりと付着するのです。え、食品雑記帳なのになぜイカの生殖の話をするかって?それには訳があります。成熟した雄の体内には精包がたくさんありますが、イカ自体が死んでも精包の発射装置は比較的長時間その働きを失わないんです。活きのいいイカをさばくと、さわった刺激で引き金が引かれてそこら中に精包がくっつくということがあります。時には刺さるようにくっつくこともあり、調理中に驚かされたり、場合によっては寄生虫と勘違いされてクレームが付くことすらあるのだそうな。それにしてもイカの雄は射撃の腕が求められるとはたいへんです。さて、驚くのはこれだけではないのです。イカの雌は精包の中の精子を好きなときに使えるように貯蔵できるのです。卵の成熟に合わせて精子を使うとはまさにすごいの一言です。 <図太い神経の持ち主は?> 態度がデカイかふてぶてしいと、”おまえはなんて神経の太いやつだ!”と言ったりしますね。メンタル面で線の細い私としては、神経の太いのはうらやましい限り。俺も図太い人間になりたい・・・などと思ったことのある方も多いのでは?さて、動物にはほんとに図太い神経の持ち主がいます。鯨でしょうか?ゾウ?それともキリン?いえいえ、意外にもヤリイカなんです。あー、あの胴の内側にある透明なプラスチックみたいなの・・・と早合点してはいけません。あれはペンと呼ばれる貝殻に相当するもので神経ではないんです。神経はペンの両サイドにあります。直径0.5〜1mmと太いだけでなく、長さは7〜10cmにもなります。大きくて扱いやすいことからイカの巨大神経(軸索)を使って神経の研究が盛んに行われました。1952年にイギリスのホジキンとハックスレーはヤリイカの巨大軸索を使った神経興奮の研究を発表し、後にノーベル医学生理学賞を受賞しています。 <光るイカの物語> ホタルイカって御存知ですか。煮付けてよし、沖漬けはとても美味でお酒の当てには格好の珍味です。さてこのホタルイカがなぜこの名で呼ばれるかといえば、蛍のように光るからなのです。ホタルイカは一部の腕や目の下あたりに発光器を持ち、光を放つのです。ホタルイカと言えば富山湾が有名ですが、夜の漆黒の海にホタルイカの群が光り輝く様は幻想的だと言います。 |