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HOBIA例会・セミナー これまでのHOBIAの例会やセミナーの記録です。HOBIAの活動状況が見えてきます。 |
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2月23日に(財)北海道地域技術振興センターと共催 ホテルガーデンパレス
「21世紀の食品産業はどうなる−食品産業の方向と道内食品産業振興への一提言」 協和醗酵(株)食品開発部次長 松岡 一裕氏
1.はじめに まず、北海道の食品産業界についてですが、北海道はどの地域よりもまず発想の転換をしなくてはいけません。以下の質問を自問自答してみて下さい。 a.将来を見据えた事業戦略を立ててきたか? b.地域に立脚したと言うことを事業戦略に十分組み込んできたのだろうか? c.消費者のニーズが変わったことをふまえた事業戦略を立ててきたのか? d. 北海道という地域特性を有効に活用したか? e. 道産の食品産業は道産の一次産品に頼りすぎていなかったか? f. またこれらの活用が十分ではなかったのか? g. 本当の意味での農水産立県と言うことを理解していたのか? h. 新しいものを受け入れたり自分なりにアレンジメントしたりすることに欠けていたのではないか? i. 保護政策に安住しすぎたのではないか?生産と販売は事業にとって一体であるということを見直したことがあるのか? j. 生産は北海道で販売は大消費地であるという事業戦略を採ったか? k.将来を見据えた事業戦略と言うことでは事業展開を模索したか? l.座してばかりいなかったか?道外の企業との合併や提携を積極的にやってきたか? m.他府県よりも食品企業の倒産が多いのは何故か? 2.北海道人気質 一言で言えば、好奇心が強くて引っ込み思案であるといえます。北海道人を見ますと、道外で働いているのは女性が圧倒的に多くて、東京、大阪、名古屋の飲み屋のママで北海道出身の方はたくさんおります。ところが、意外と男性が少ないのです。 女性が積極的で男性が消極的だというのが、今の北海道が元気がない原因はないでしょうか?まだまだ他府県から比べると北海道は恵まれた部分がたくさんあります。農地も広いし、耕作できる土地もあるし、保護も多いし、HOBIAの方々も非常に熱心です。 また、北海道は自然に囲まれ自然の宝庫です。これは食品産業にとっては非常に大事なイメージです。第1次産品が多いこと、空気がきれいで景色も奇麗です。しかし、こういうイメージを利用している企業というのは意外と少ないと思います。しかも道産品をあんまり活用していない。日本全国県民気質という本には、北海道は異常に郷土愛が強いと書いてあります。悪いことではないのですが、道内だけでまとまろうという力が強すぎるのではないでしょうか。自分の既得権は侵されたくなくて、侵されると頭にくる度合いが一番強いと出ています。また、進取の気性に欠けるところがあるとも書いてあります。他人任せで、そのくせ自分が得た権利はなかなか手放そうとしない。自分の領分は守って、いざとなれば責任転訛すると書いてあります。辛子明太子は、ご存じのように博多の大名物でありまして1000億を越える事業になっておりますが、開発したのは北海道の企業です。 これを、大事に育てないで原料だけを売れば良いと言うことで手放してしまった。楽な道を選んだのです。しかも、北海道に来てこのことが残念だと言う話を聞いたことがありません。やはり、残念と思わないと反省しないので新しい発展がありません。 協和発酵(株)食品開発部次長 松岡一裕氏 3.道内食産業の振興のために これから到来する高齢化社会を念頭において、日本全体の胃が必ず小さくなってきますのでこれを前提に考えてください。世界的規模では必ず食糧難がやってきます。 北海道には日本で残された唯一大きな農地が残っています。バイオの技術が進めば北海道みたいな寒いところでも、暖かいところで育つ食物を作れるようになりますし、一期作を二期作にしたりして食料生産を1.5倍にあげて行かなくてはいけません。また、一毛作は二毛作になるような品種を開発しなければならない。道産農産品を大事にし、それを使って加工し、用途を拡大したり市場を開拓したりそういうことを考えていかなければいけないでしょう。そして、市場は本州であるということを常に意識した企業戦略を立てていく必要があります。その企業戦略の中には、道内だけで何とかやっていこうという考え方は見直さなくてはいけない。 4.具体的な提案 これ以上北海道のイメージを悪くするのはないようにすることです。特に、道南のホタテのウロの問題は重要でよく考えた政策が必要です。 北海道の海草類や褐藻類からとれたフコイダンはグルクロン酸とフコースが結合したもので、これはガン細胞のアポトーシスを誘発することが分かっています。でもこういうものを北海道の企業が研究しているのを聞いたことがありません。甲殻類由来のキチンキトサンも道内では作られていません。鮭の頭に5%も含まれておりますコンドロイチン硫酸の研究なども重要で、これは最近糖の代謝を抑制するので、糖尿病の患者にデンプン質のものを与えても血糖値が上がらないと報告されています。 こういうものも北海道ならではの食材なのです。ホタテの残渣をうまく利用した、タウリンが豊富な調味料の開発もおもしろいと思います。蝦夷うこぎなどをもっと安価に作ることが出来れば用途が拡大するでしょう。また、高麗人参が作られているのは長野県ですが、たとえば美瑛とかでつくるのはどうでしょうか?高麗人参は値段が高いので現在じりじり消費が衰えております。これも安く作ることによって用途が拡大すると思います。 またデンプン事業として、うまいモディファイドスターチを作ることによって価格競争に勝つことが出来るようになるのではないでしょうか。健康食品の素材で、北海道は輸入品と比べて品質の良い大豆がとれますが、これに含まれ骨粗鬆症やダイエットに良いと言われているイソフラボンやコレステロールを下げると言われているサポニンは輸入品と比較してどうかという研究もないと思います。さらに、北海道は遊休設備が多いと言われていますが、そういった遊休設備を使って本業ではないものを作るのも必要です。 「食品と健康を考える」セミナー会場風景 「塩水港グループのバイオ開発事業について」 横浜国際バイオ研究所 常務取締役研究開発部長 原 耕三 氏
1.新しい機能性糖質の開発 横浜国際バイオ研究所は、製糖会社である塩水港製糖の研究部門が1997年に独立したものです。砂糖の精製量が昭和47年をピークに減少し続けていることを受け、昭和57年から砂糖関連の新商品開発に関する研究を行ってきました。この基礎研究から事業化するに当たっての経緯を研究開発の一例としてご紹介します。 最初に事業化されたものは、シクロデキストリンであり、これは食品添加物として使用されるときは「環状オリゴ糖」として表示されるものです。この化合物は、分子の構造がドーナツ状になっているため、分子の真ん中に別の小さな化合物を取り込む能力を持ちあわせています。特にドーナツ状の内側は疎水性に対し外側は親水性のため、オイルなど水と混ざりにくい物質の水溶液を調製することが出来るなど、様々な応用が可能です。 シクロデキストリンに取り込まれることによって得られる効果は、医薬品、化粧品、食品など様々な分野に活用されており、化合物の安定化、揮散性の防止、乳化、溶解性の改善など数多くが実用化されている。例えば、ワサビや香料は成分の安定化の目的で、健康食品では味の改善の用途で使用される一方、ヒバのオイルを取り込ませて付着させた繊維は抗菌性を示すようになります。 2.研究の発展 シクロデキストリンは、馬鈴薯澱粉をサイクロデキストリン合成酵素で処理することで製造されます。酵素の種類によって出来上がるシクロデキストリンが異なり、アルファ、ベータ、ガンマの3つのものが出来ます。これらについて研究を進めていくと弱点も次第に解ってきます。実は、ベータ-シクロデキストリンは溶解度が悪いのです。このようにして次の研究目標が決まっていきます。 溶解度の改善のために、環状の分子構造に枝をつけて、その先に糖を付けたシクロデキストリンを次に開発しました。酵素反応を利用して、シクロデキストリンとマルトースを合わせて、マルトースが分岐したシクロデキストリンを製造することに成功しました。溶解度は、ベータ-シクロデキストリンよりも格段に上昇しました。これによって、使用用途が幅広くなり、現在食品用にはこのマルコシル-シクロデキストリンが多く使用されています。 その後、特別な用途として注目されている第3世代のシクロデキストリンとして、ヘテロ分岐シクロデキストリンを開発しました。先に述べた分岐シクロデキストリンは、環状部分を構成する糖と同じ糖を分岐させたものですが、ヘテロ分岐は環状構成糖と別の種類の糖を付加させるというアイディアです。これによって、既存のシクロデキストリンに比べて、溶解度が増加することのほか、安全性が向上するなどの効果が見られました。また、これらは新規の物質として認められるので、特許も取得でき、企業戦略上重要な進め方といえます。 横浜国際バイオ研究所 原耕三氏 3.糖が専門だから、さらに深める 次に開発したものが、ラクトスクロースであり、厚生省の特定保健食品では「乳果オリゴ糖」と表示することが義務付けられているものです。これは、土壌細菌アルスロバクターが産生する酵素ベータ-フクラクノフラノシダーゼを、ラクトースとスクロースに作用させることによって製造することが出来ます。この土壌細菌は、塩水港製糖大阪工場の敷地から採取されたもので、旧来の同様な酵素とは異なる活性をもっていて新しい乳果オリゴ糖を製造するのに適していました。 乳果オリゴ糖の開発は、はじめから体内でのビフィズス菌の増殖を目標として考えられていました。この開発も研究が進むにつれて、品質の改善が進み、また科学的なデータも揃い、結果として特保の要件を満たしました。現在、次の目標として、新しい効果を検索しています。特に、骨粗しょう症の対策として、骨強化の効果に注目しており、骨密度や破断強度の上昇について検討を重ねています。 以上、シクロデキストリン、乳果オリゴ糖の例をご紹介しましたが、製糖会社での知識を生かして、そこへ酵素利用技術を導入してさらに専門を深めるといった形で研究開発を行ってきました。このことが現在の成果につながったと考えておりますし、さらに新しい機能を持ったオリゴ糖を開発して参りたいと考えております。 「食事診断プログラムの開発について」 雪印乳業(株) 健康生活研究所所長 八尋 政利 氏
1.はじめに
今日は私ども雪印乳業(株)の健康生活研究所で実施している食事診断プログラムというもの、食生活をコンピュータで処理、評価するものについて御紹介したいと思います。その前に健康生活研究所の紹介をしますと、設立の目的は、私ども食品メーカーとして「単にモノを売るだけではいけない、食生活を通して明日の健康作りに貢献しよう」という目標の下に、昭和60年に開設されました。活動内容としましては、 (1) 健康・栄養に関する学術情報の収集、 (2) 健康と食生活に関する情報の発信、 (3) 食事診断による食生活アドバイス、 (4) 食生活に関わる研究活動 の4つを柱として活動しております。 2.「ヘルシーボックス」の特徴 今日御紹介しますのは、食事診断による食生活アドバイスに関連して、私どもが食品メーカーとしてのノウハウを応用して開発したコンピュータによる食事診断システム(「ヘルシーボックス」)です。平成元年から事業化しましたこのシステムの特徴を挙げますと、 (1) 科学技術庁発行する食品標準成分表(1840品目)及び私どもが独自で作成した料理栄養成分データ(800品目程度)をデータベースとして使用、 (2) 個人の性別・年齢・身長・体重・生活活動強度などから各人に望ましい栄養所要量(厚生省の第5次日本人の栄養所要量を基準とする)を計算、 (3) 個人の食事記録を入力し、データベースを基にして各人の1日分の栄養摂取量を算出、 (4) コンピュータが栄養素の過不足を計算し、275パターンの中から総合的な食生活アドバイスを実施、また、特に注意する点を2点挙げて補足説明、 (5) 栄養素だけでなく食品群の過不足状況も判断し、バランスチェック、 (6) コンピュータから出力されたデータを専門の管理栄養士が個別に手書きで最終的にアドバイス、 といった点が挙げられます。 雪印乳業(株) 健康生活研究所所長 八尋政利氏 3.ヘルシーボックス」の内容 次に、システムの流れとしてはまず受診者の方から申し込みがありますと、こちらから食事記入表及び説明書を送付します。受診者に送られる記入用紙には、食事記録の他にアンケート形式で健康・生活チェック(生活活動強度や健康状態を知る目安となります)、食生活習慣チェック(食物の嗜好や分量に関する情報が得られます)を記入する欄があります。食事記入の注意点としては、特に分量の感覚には個人差があるので、なるべく詳しく書いてもらうようにしています。記入後返信してもらい、記録表をコーディング処理(食品・料理などを4桁の数字に置き換える処理)し、分量と共にコンピュータに入力しますと、食事診断表が出力されます。この表を見てみますと、1日当たりの栄養素摂取量は、実際に摂取した量と、望ましい摂取量の過不足を計算し○×方式で評価も加えてあります。栄養素アドバイスは、コンピュータがすでに入力済みの275パターンの中から選択して打ち出します。「特にここに注意!」ということで、過不足の激しい栄養素を優先順位に従って2つ選び、アドバイスしています。 1日当たりの食品群の摂取量は、食品を10群14分類に分け、女子栄養大の点数方式(1点=80kcal)を採用して計算しています。これもとりたい点数と実際の点数を対比させ、過不足を評価しています。バランスチャートは、栄養素別・食品群別に表示して、各人の栄養バランスが一目でわかるようになっています。その他、三大栄養素のバランスや三食のエネルギーバランスについても評価しています。最後に、これら全てのデータから、管理栄養士が手書きでアドバイスを記入して、受診者に返送します。記録表が戻って来てから大体2週間以内には診断結果を通知しております。 4.「ヘルシーボックス」の活用 このシステムの利用については、外部からの依頼は年間5,000件程で、各企業の健康組合の利用が多く、他には産婦人科の病院、スポーツクラブ、個人の申し込みなどがあります。また、自社の従業員の健康管理にも利用しています他、販売ツール、特定の研究(離乳食調査、高齢者の食生活調査など)への利用を行っています。さらに、年間5,000件としても最近5年間で25,000件のデータになりますので、蓄積データというものが結構あります。この様な蓄積データの活用方法として、これらを集計して、最近の食生活の傾向を解析する作業を現在進めているところです。こういった解析結果が将来的に研究開発や販売促進に活用できればと考えております。 5.おわりに 最後に、健康・栄養に関する社会的背景とヘルシーボックスの関係について考えてみますと、少子化・高齢化、健康意識の向上、食生活の乱れ、生活習慣病の増加・低年齢化、医療費の増大などの社会的状況下において、疾病の一次予防は非常に重要であるように思います。疾病予防として、栄養(食生活)、運動、休養は重要ですが、中でも食生活は生活習慣病の予防からも重要です。この点からも私どもの提供しておりますヘルシーボックスは、有効であると考えています。 |