第93回 例会・新年恒例開会再報告
さる1月23日ガーデンパレスにて、「油とヒトの健康」と題した第93回例会が開催されました。当日は約50名の参加のもと、北海道大学医学部付属病院副部長 千葉仁志氏、(株)ヤクルト本社中央研究所 酒井正士氏、花王(株)生物化学研究所主任研究員 荒 勝俊氏より、油の科学という観点から、それを利用した商品化までのお話しをいただき、北海道東海大学教授 西村弘行氏および北海道大学助教授 浅野行裁氏のコーディネートで意見交換を実施しました。
その後、会場を4F真珠の間に移して行われた新年交礼会では、来賓としてご出席頂いた、北海道経済産業局産業部次長 菅野弘司氏、北海道総合企画部次長 藤原弘道氏、(財)北海道科学技術総合振興センター副理事長 石谷捷二氏よりご祝辞を頂戴し、北海道のバイオ産業への期待と要望などを伺うことが出来ました。
交礼会では、参加者はなごやかな雰囲気のもと、情報交換や活発な論議に花が咲きました。
新年交礼会で挨拶される菅野氏
以下に、例会の内容を簡単にご解介します。
1.「ここが違う日本人の脂質代謝遺伝子」
北海道大学 医学部付属病院副部長 千葉仁志氏
十数年油の研究をしている。最近、遺伝子レベルでの研究をかなり簡単にできるようになってきたので、日本人さらにアジア人の脂質代謝の特徴を遺伝子を使って研究している。
(1)日本人のHDL代謝の特徴(CETP遺伝子の役割)
リボ蛋白受容体や重要な遺伝子はすべて明らか。このうち、CEDP(コレステリルエステル転送蛋白)欠損が日本人の脂質代謝の特徴となっている。HDL−Cは40から60(mg/dl)にピークがあるが、D442G型変異は、70mg/dlでピーク、Int14A変異(イントロン14の欠損)では120を超える。CETPコレステロールエステルの逆輸送に働き、この変異は白人系ではフィンランドでのみ見つかつている。
日本では、D442G型は7%、int14Aは1−2%存在する。人口の5%以上を占める場合は、変異ではなく多型と呼ぶので、これは日本人の体質と呼んでいい。D442Gはアジア全体に分布しているが、int14Aは札幌以外では秋田県の大曲で高い頻度で見つかった。CETP欠損者は、酸化LDLの濃度が高くなり、酸化度は有意に高くなる。また、CETP欠損者は、HDLコレステロールが高くなったが、中国ではHDLに差は無く、LDLコレステロールの低下作用が表れた。同じ遺伝子の変異でありながら、ライフスタイルによると判断した。
(2)日本人の脂肪酸代謝の特徴(CD36遺伝子の役割)
遊離脂肪酸は組織でいろいろな目的に利用されている。燃やしてエネルギーを産生し、シグナル伝達、蛋白質のアシル化などにも使われる。CD36は脂肪酸代謝でもっとも注目されている遺伝子。
分子量88kdの糖蛋白で、スカベンジジャー受容体に分類され、血小板におけるコラーゲン、トロンボスポンジンの受容体、マクロファージにおけるフォスファチジルセリン受容体となる。接着分子でもあり、マラリア感染赤血球の内皮細胞への結合に利用される。酸化リポ蛋白、正常リポ蛋白の受容体、心臓組織、脂肪組織における調査脂肪酸のトランスポーターとしても知られ、インスリン感受性に関与するとも言われている。
CD36欠損は、エクソン4とエクソン5,エクソン10の中の変異。ブドウ糖負荷試験(北大の学生を対象、インフォームドコンセント済み)で75gのブドウ糖を負荷し、30分ごとに血液を調べたところ、欠損者の血中脂肪酸代謝は徐々に低下しており、脂質代謝異常が示唆された。これにより、CD36欠損者は持久力が低下することが分かった。
(3)新しい保健化学の方向性
今後は、日本人そして個人の体質に基づくオーダーメイド保健を行う時代が来る。例えば、CETP欠損者には抗酸化食品が有効だと言えるかも知れない。
ご講演される千葉氏
2.「脳の仙きとホスファチジルセリン」
(株)ヤクルト本社中央研究所 酒井正士 氏
(1)はじめに
今流行のプロパイオテイクスの研究を行っている。日本人の平均寿命は77.6(男)、84.6歳(女)となり、これは医療技術の進歩により、感染症は格段に減少し、生活の質の向上、ライフスタイル食生活の影響が大きい。中国には「以類補類」と言って、「ある臓器の働きが弱まったときは、健康な動物の同じ臓器を食べればよい」という考え方がある。昔の人は特定の漉器に特定の栄養素が局在していることを知っていたとも解釈できる。今日解介するホスファチジルセリン(PS)は脳に特に多く存在する物質である。その構造は、脂肪酸2つとリン酸を介したセリンがグリセロールにそれぞれ結合している。PSは、細胞質の外側に局在していて、細胞の内側には存在しない。
(2)牛脳PS
牛脳から取ったPSを老人性痴呆症患者に対して1日300mg6ケ月間投与することにより、記憶の貯蔵、記憶の想起に関するスコアが上がっている。脳はグルコースのみをエネルギーとして利用するので、脳のグルコース代謝を調べると脳の働きを見ることが出来るので、PETにより脳の状態を調べてみると、前頭葉、側頭葉の部分が活発化していた。数多くの改善剤のなかで、牛脳PSの効果は際だっていて、なんと12歳も若返ることが出来る。しかし、残念ながら、狂牛病の問題が生じたため、植物性の原料を探した。
(3)大豆転位PS
大豆レシチン(ホスファチジルコリン)にセリンを加え、ホスホリパーゼDを作用させると大豆転位PS(ホスファチジルセリン)ができた。その脂肪酸組成は、牛脳でステアリン酸、オレイン酸、大豆でパルミチン酸、リノール酸などであつた。
脂肪酸組成の違いによる効果を、マウスを使って受動回避試掛こより検討したところ、違いは認められなかった。記憶障害を起こされる薬であるスコポラミンを作用させたところ、タクリン(記憶障害の薬)の半分程度の効果が認められた。直接脳に入れても効くので、生体内で脂肪酸が入れ替わって効いているわけではない。
この知見はすでに特許を取得した。大豆転位PSはシナプトソームからのアセチルコリン放出活性、ATP合成酵素活性を高め、老齢ラットでも若いラットに値が近くなる。正常動物への投与では、学習能力を高めることが明らかとなった。現在、ヒト介入試験を考えている。
ホスファチジルセリン含量は牛脳(1000mg/kg)、サバ血合い(500mg/kg)が多いが、以下、発心淋、肝臓、豚肝巌、鶏肝淋、もも肉、イカ筋肉部にも含まれる。20倍の投与1年間では悪影替はでていないので、毒性はないと思う。
3.「皮膚の常在菌を殺さずにニオイを抑える新機構の防臭剤」
花王(株)生物化学研究所主任研究員 荒 勝俊 氏
(1)はじめに
人が出す油を微生物が分解してニオイを出すが、これを抑える商品を出したのでご締介したい。発明だけでは商品にならない。商品が使われる場面や、それを入れる素材など解決しなければならないことは多い。
(2)商品のコンセプト
脇の下をスプレーする製品はあったが、足をスプレーするものはなかった。そこから研究を開始した。足回りで気になることを調査したところ、むれ、ニオイ、水虫が上位に来た。そこで、消臭、不快感にたいして爽快感を出し、感染症に対しては衛生という観点で商品コンセプトを立てた。
(3)ニオイについて
消費者のニオイに対する意識調査の結果、口のニオイ、足のニオイが多い。女性が男性の気になるところを聞いてみたら、足のニオイが上位に来た。気になる時間帯は午後から夕方、場所は勤務先とのこと。足臭はエクリン線という汗腺から分泌されたロイシンが、足の常在菌のロイシン脱水素酵素で分解されてでてくるイソ吉草酸がその原因であった。ロイシン脱水素酵素の酵素活性を天然植物成分から探索し、官能評価を行った結果、チョウジエキスの効果が高かった。イソ吉草酸は1/5になったが、菌数は変化せず常在菌には影響しなかった。
(4)衛生
白癖菌は人の肌が大好き。足に感染する比率は6割。特に靴の中というのは蒸れるから感染しやすい。これをフットプレス法で調べると、ビジネスマンにおける白癬菌の検出率は88%である。自宅で感染した比率が40%、共同施設が23%で半分以上を占める。白辞菌が存在する場所は、男子浴室のマットや体重計が多い。本製品は医薬品ではないので、抗真菌剤のクロトリマゾールを低濃度で配合し、水虫の治癒効果をねらわずに衆境中の菌を排除するのが目的だった。殺菌や治癒効果をうたっていないので許認可は必要としない。
このような取り組みから、昨年三月にフットケアスプレー“ケア・ステップ’を上市した。この製品は、足踏みタイプという特徴が評価され、本年度のグッドデザイン賞を受賞することが出来た。
バイオベンチャー創業支援セミナー開催要旨
日 時 平成13年6月12日(火)14:00−17:00
場 所 ホテルモントレー札幌
基調講演
「日本ベンチャーの行方」
(有)アッシュインターナショナル 代表取締役社長 建入 ひとみ 氏
はじめに
大学卒業後マスコミに入ってすぐ、日経サイエンスと組んで50人のプロジェクトチームを作り、一定レベル以上の技術者、研究者を対象に作ったテクノピアという番組を担当した。全国を取材し、技術的な説明を加えていく手法ですが、この時いろんな技術いろんなベンチャー会社と知り合うことができた。それが今の糧になって、現在私はベンチャー企業のコンサルタントをやっている。全く人生には無駄がないのに驚かされる。
バブルの前後で
1992年のバブルの頃、新製品の紹介をやっていた。広報の方にインタビューして商品を解介した。ソニーでさえ3ケ月に一つ新製品を出さなければならず、中途半端なものが多かった。このままでは日本がおかしくなると思った。自分が伸びるには日本にいても仕方がないと感じ、次のステップとしてフランスに留学した。その時、南フランスには、アメリカで言うシリコンバレーのようなところがあり、そこにある3000社の内日本の企業が5社あった。活気のあるベンチャー会社が集まっており、大変刺激になった。しかし、2年間住んで、やっぱり自分は日本人だと言う意識が強くなり、日本に帰ってきた。その時、バブルがはじけた日本の風景が以前とは変わっていたのに驚いた。テレビ番組もいかに安く作るかを競っている時代だった。
1/f ゆらぎ
日経新聞に東京工業大学を退官し、東京理科大の教授になっておられた武者先生が発見した理論で「1/fゆらぎ」というのがある。自然の物、例えば音楽や、木目、体のリズムはすべて1/fゆらぎを起こしている。このリズムに基づいて、音楽や絵などを通じて心を癒し安らぐことができる。最初装飾分野に利用し、ブラウスやネクタイが生まれた。最近は、遊歩道の石面からビルの壁面などへと視覚から触覚への開発が進んできており、人の心に安らぎを与える未来型商品を作っている。最初、この理論を持って企業に説明に行った時、説明した担当者は分かってくれたが、社内会議に持っていくと理解されなかった。大会社は決定がなされずに長引いて、共同開発となるとお金を出さないところが多かった。また、その時代女性には全く銀行はお金を貸さないし、女性のための起業家塾もなかった。
物事が動かないときには必ず問題がある
去年、韓国に行ってきた。その時に驚いたのは、女性起業家の為にあるベンチャーキャピタルが20億円を用意していたことです。その時のプレゼンテーションを見たとき、日本は完全に負けたと思った。完全にアメリカスタイル、短い間に収支決算まで伝え、パワーポイントを完全に使いこなし、すべて英語のパンフレットを持っている。日本人はプレゼンテーションが下手です。韓国の人々は自分のビジネスプランには絶対の自信があり、弱みをみせない募囲気がある。
ベンチャーという定義は日本では曖昧だが、売上高に対する研究費が5%以上、ベンチャーキャピタルの資本率は10%以上と決まっていた。3万社あったものが2年で7万社になっていた。強力な財閥がベンチャーを支援している。シリコンバレーでも韓国パワーがすごい。コスダックが日本より7年も前にオープンしているが、これによって韓国は変わったと言われている。
マレーシアのサイバージァはシリコンバレーのようなところですが、政府、特に首相が独断で株式会社を直接動かしている。ここでは官民での組織体が生まれ、大学やインキュべ−ションシステムが入っている。法人所得は10年間免除、資金も海外から調達しても良い。日本は通信費が高いためにITが遅れがちだが、マレーシアは非常に安く急成長している。
ベンチャー企業に対する提言
ベンチャーは初期段階に資金が足りない。ベンチャーキャピタルはその技術に関わる大学の教授を口説いたり、大企業のオーナーに直接会って、技術、市場、株式公開時期など具体的なビジョンを書いたビジネスプランを訴えていく。プロフェショナルに自分のできないところを早くまかせた方がいい。ベンチャーの社長は何がプロなのか、自分を見定めないと誰を必要とするかが見えない。自分ができないところを見定めて、足りない人材をとってくる。男性はスタッフ構成に甘くて、コネとかで集めてくる。友達とか知り合いを入れたがるが、どうしてこの人がいるのかを明確にした方がいい。このへん女性はとてもシビアである。いまや日本の女性ベンチャー社長が6万人。トップに立つ社長の意識がどちらを向いているかが一番重要。企業は人である。
講演される建入ひとみ氏
プレゼンテーション
ネイチャーテクノロジー(株)
代表取締役社長 刈田 貴久 氏
昨年の4月岩見沢に資本金1000万円で会社を設立し、現在資本金1億3千5百万でコアテクノロジーは植物性揮発性成分を皮膚から入れるという技術です。岩見沢市、いわみざわ農協と共同で市内3ケ所にて将来的な原材料の国内調達および製品の研究開発を目的とする。事業は香料成分アッセーシート事業、健康香料事業、新剤形医薬品事業からなりたっている。
具体的には生体機能を有する香料を人の肌や衣服に張り付けてアレルギー対策をおこなうことを手がけている。
柱となる5つの研究体制は、
1)揮発性成分に関する研究
2)機能の最適化研究
3)基材・揮発性成分以外の要素に関する研究
4)挿発性成分の活性に関する研究
5)用途性、デザインに関する研究
起業に当たっての心がけとして重要なのは、
1)説明する相手に合わせた書式作り
2)徹底的なリスク分析(確定要因の洗い出し)
3)倒産・事業失敗に関する多くのケースを学習する(どうしたら会社や事業は失敗するのか熟知する)
4)できる限り多くの経営者と会う
5)事業戦略を貫く
(あらゆるケースにおけるベンチマーキングの検討)
6)アウトソーシングのバランスを考える
(部門の専門性・機密性、コストなどにより検討)
財務については、財務のプロフェショナルな人材を登用することが必要です。1年間売り上げゼロでも、ランニ ングできる体制(事業規模の検討)と借り入れをする場合は自己資金を超えないことが肝心です。もちろん、開発製品は必ず市場の目を通す。市場導入された製品の開発実績のある研究者や開発担当者が先頭に立つ必要性があり、その商品はマーケテイングを想定する事業規模に応じた市場規模、顧客ターゲットを選定し、パテント戦略立案、ブランド構築を同時に行う。ターゲットとする市場に於いて実績のある企業・人物と会い生 の情報を得ることも大切。
創業時の注意点として、資金調達法に影響するのでIPOを目指すのか目指さないのかを明確にして、マーケットビジネスもしくはライセシングビジネスのどちらにするのかという事業特性を早い段階で決めることです。
最後に一言、決めた事業理念を貫くことが最も大切です。
(株)北海道バイオインダストリー
代表取締役社長 佐渡 宏樹 氏
43歳の時脳梗塞になり、2年半休んだ。その時このまま−回きりの人生、50歳になったら新しい事をしようと一大決心した。私が入っている中小企業家同友会は中小企業が多いが、その中で異業家の集まりである”一水会”でいろんな事を教えていただいた。バイオのことを全然知らなかったが、健康のことは興味が有りBioDoを立ち上げた。異業種交流の中で学んだことは、それぞれが中小企業だから金も人も無かったが、外から経営資源を得ることだった。ワイワイ飲みながら、これを発展させるには企業としてのネットワークがないとだめだと感じ、ネットワーク作りに奔走した。倒れたときと同じ時に、西村先生と一泊の研修会を開き焼き肉を食べに行って、西村先生にタマネギしか食べさせてもらえなかった。そこで、西村先生がやっている研究内容である食品による健康機能を勉強させてもらった。それから、西村先生のアグリエコインダストリーをキーテクノロジーとして、北海道バイオインダストリーを立ち上げました。北海道への地域貢献がねらいです。
追い風だったのは規制緩和で、大変恵まれた状況の中でスタートしたと思う。
産学官の連携で北海道の農業を変え、実際には生活習慣病予防食品を作ることを目的に、企業間ネットワークを利用しながら運営している。製品である黒玉は4万件のご利用を得て、最近やっと会社らしくなった。
これからベンチャー企業を創業する際、”時代の風をつかむ”ことが大切で、できるだけ早い段階で、官依存型から自立へ持っていくことです。今ヤーコンいう新しい作物に目を付けて、南空知の産業クラスター創造をめざして北海道にある遊休施設を活用しヤーコンを一万5千株植えた。私の会社は極めて安全率が高いベンチャーだと思う。生きる、働く、暮らす、この三つの要素が全部入っていないと成功しない。
「本当の仲間というのは、同じ方向に向かって肩を組んで歩める仲間である。」という言葉を最後に贈ります。企業は人です。
(株)ジェネティツクラボ
代表取締役社長 橋本 易周 氏
会社は2000年の9月に設立し従業員8名です。取締役として、北海道大学医学部の先生2名になっていただいている。基本的には小さな技術とビジネスモデルを作って、National Interestを持っている。ヒトゲノムの解析がおおむね完了したとの報道が昨年なされました。ゲノムは特定の遺伝子配列に意味があり、そのコードするタンパク質として体に影事を及ぼす。ヒトゲノム30億の並びの中でどの遺伝子が病気になったときに発現するのかなどを大学と共同して解明して、情報を売っていこうと思っている。医薬品や診断薬を作る目的のために、情報を作っていく。遺伝子の発現解析から、遺伝子診断、遺伝子型による治療方針の判断を行い、テーラーメイド治療へと発展させるつもりです。そのためには遺伝子機能解析が必要ですが、我々は独自の酵母による遺伝子機能解析システムを有しており、酵母を用い新薬のスクリーニングが可能です。
ただ単に喘息と言っても病因は10種類ほど有り、その固まりで現象が一つなのかも知れない。つい最近遺伝子の発現を見たら分かることが判明した。それがテーラーメイド治療につながる。遺伝子による情報というのは、人種による差があるので、アメリカで会社を興して情報を集めても日本人には使えない。だから、日本にいて情報を収集してデーターべ−スを作るのが大切。
いまDNAの発現を見るのにDNAチップがあるが、われわれは独自の技術でGenetic Lab DNA Arrayを作った。今それは東洋紡を通じて販売をしている。米国大手企業と提携し、これを使って大学と一緒に病気と遺伝子の発現を見ている。例えば今では大腸ガン、乳ガンのグループができている。共同研究計画を作って、大学の先生方に無料で提供して、データーを出してもらう。日本中の大学の先生が学会や有名ジャーナルに出してくれるのでそれをどんどんデーターべ−スにした。昨年は9ケ月で50の学会発表がなされた。日本の製薬企業はデーターべ−スの利用が遅れているので、ここに働きかけている。ある病気になると、どういう遺伝子が重要かを解明し、独自の酵母システムをつくって、特許を出しているが、製薬会社2社からオファーがきている。これで遺伝子の絞り込みをしている。
まだ、9ケ月ですがライセンスフィー、研究委託費が入ってきている。国からの補助金も受け、現在ビジネスが軌道に乗ってきていると感じている。
ジェネティツクラボ事業展開は以下の通り。
(1)遺伝子解析ツール
製品技術供与(ライセンス料)
(2)遺伝子発現解析
遺伝子診断情報(ライセンス料)
(3)新薬開発のターゲット情報(情報料)
(4)遺伝子機能解析
遺伝子機能解析より新薬候補の絞り込み(技術使用料)
(5)酵母を用いた新薬のスクリーニング
化合物の発見(技術使用料・新薬開発の際のロイヤリティー)
(株)ジーンテクノサイエンス
取締役 阿部 修 氏
会社を設立した主旨は「大学で生まれた新技術を基盤とするベンチャー企業を設立し雇用の創出を図り、北海道地域や我が国経済を活性化するため」です。平成13年3月1日、資本金1000万で設立、従業員5名でスタートした。今月、増資をかけ、創立3ケ月日だが、製薬メーカーと契約できそうなので8月くらいにはキャッシュフローが好転すると思っている。設立時には公的な支援はいただいていないが、できることならお願いしたい。
業務は、モデル動物作成、ねらうところはゲノム創薬です。日本の製薬メーカーが全部集まっても、ファイザー1社の研究費とトントンであるから日本の製薬メーカーからお金をもらおうと思っても無理。だからターゲット企業は海外の製薬企業においており、疾患を特定してそのモデル動物を作成していく。ヒトゲノムが分かってきたので、そのゲノムが発現したときのどんな機能を持ったタンパク質が発現するのかを解明するのがこれからのポストゲノムである。そのための実験動物づくりです。
コンサルテーション部門としては、ゲノム創薬を考えていく。既存遺伝子データーべ−スとの比較がほとんどで、これからはヒトの疾患遺伝子、特に日本人の遺伝子を取っていかなければならない。情報を取るときにマスコミから叩かれるのをどうやって避けるかも重要なこと。
なぜ北海道でやるかと言われるが、東京でやると医学部が多すぎてしがらみが強い。でも北海道は北大、札医大、旭川医大しかないので大学同士、先生同士のしがらみが少ないので仕事がやりやすい。これからやることは、共同研究受託のためのインフラ作り、ヒトの遺伝子情報を収集する環境り、遺伝子倫理委旦会のもてる施設、新GCP対応施設をつくることで、外部監査対応が可能な受託体制を整える。
創業時の注意と問題点は、役員である先生が現職国立大学に席がある故、基本的には勤務外しか対応することができないこと。共同研究実施まで運転資金の調達を明確にすることが重要だと感じた。大学のキャパに問題があるので、共同研究施設を独自に持ちたいと思っている。
「バイオ産業クラスター」戦略プロジェクトについて
北海道経済産業局 産業部 戦略プロジェクト推進室長 浦 忠幸 氏
北海道経済の再生のために取り組んでいる戦略スーパークラスター振興戦略についてお話しします。目的は、ITとバイオテクノロジーを重点的に推進して、世界に通用する企業を育てることです。ITに関しては札幌バレーとよばれる情報産業クラスターがあり、国際的にも通用する企業ができネットワークが好循環しつつある。また、バイオも今紹介されていたように特徴のあるバイオベンチャーが生まれつつある。また、コラボ北海道やTLOに加えて、産業技術総合研究所北海道センターもバイオに特化するなど環境杢備も進んでいる。大学等の優れた研究シーズを事業化に結びつけて、バイオ産業クラスターの形成を促進したい。その戦術として、産学連携の骨太な研究開発プロジェクトを組み立てて立ち上げていく。また、大学などにある研究シーズを道内外企業の事業化ニーズと結びつけていく。大学発のバイオベンチャーを加速するため研究者等がベンチャー企業を立ち上げやすいインキュべ−ト施設などの事業環境整備を産学官で検討して実行していきたい。
私どもが取り組んでいるプロジェクトは、先般、経済産業省が取りまとめた「新市場・雇用創出に向けた重点プラン」、いわゆる平沼プランの開業創業倍増プログラムの「地域再生産業クラスター計画」として位置づけられており,経済産業省全体で取り組んでいるものです。これからも全力を挙げて取り組んでいこうと思っておりますが、メイン・プレイヤーはあくまでも民間ですので、企業の方に頑張っていただきたいと思います。
講演会場風景
|