1.FTについて
FTのFとはファーメーテーション、Tとはテクノロジーで発酵革命と云っている。ITでは出来ない、人間で一番重要なことを解決出来るのがFT革命で、北海道の経済もFTでかなりの部分解決出来ると考える。
21世紀は4つの大きいキーワードで解決することになる。
1つは、環境問題で生ゴミ、家畜のふん尿をどうするか、切実な問題である。これはITでは解決出来ない。
2つは、健康の問題である。未だガンやエイズの薬が出来ていない状況の中で、現在抗ガン剤などが微生物によって作られている。
3つは、食料問題が重要でる。自給率が40%を切っていると云われている中で、これからの食料生産が微生物によって相当解決できる。
4つは、エネルギーである。微生物による発酵によってエネルギーができるのか、と思われるかも知れないが、既に相当進んでいる。
2.発酵の現状について
日本の発酵の総生産量に占める味噌・醤油・納豆等の食料面は17%しかなく、その中に1社で9千億円を占める大手のビール会社が入っている。全国2千軒の造り酒屋や味噌、納豆等の製造が入って全部で17%である。一般の人が考えている発酵は17%でしかない。
非常に大きいのは、36,7%占めている医薬品である。例えば抗生物質は100%発酵である。抗生物質ができて手術ができて、化膿が止められるなどいろいろな病気が治せる。抗ガン、抗炎剤とか難病治療が出来ている。次に大きい化学製品ではアミノ酸の生産である。
食品、医薬品、点滴用に用いられる全てのアミノ酸の生産は100%発酵によっている。最近はホルモン、サトウキビからの味の素、特殊なビタミンも発酵である。
また、大きいのは発酵による酵素である。酵素とは微生物の作る蛋白質で生き物ではなく、生命体でないが物を分解したり、合成してくれる優れ物である。酵素を使った分野では最近病気を早く診断する酵素診断法が出来ている。また微量成分の計量関係は殆ど酵素である。そのほか環境関係で急速に発酵がのびており、例えば、水の汚れをきれいにしたのは、有機物を川に流す前に微生物処理をしたことによる。
発酵の世界は食べ物だけではない。
3.健康と発酵について
IT革命で根本的に病気を治すことは殆どない。もちろんコンピュータで原因を追及することはあるだろう。納豆菌の1例を取っても、納豆菌には何千何万といるが、納豆菌は強さが極めて強いことが証明されている。いかに発酵食品が人間の身体に良いかであるが、納豆は血栓症や高血圧が平常になるだけでなく、味噌にガン抑制成分があることが証明された。ガンは酸化質されて発生されると云われているが、微生物は有効な物質を作ってくれ、健康に微生物が貢献すると考えられている。この分野に発酵が大きな期待をされて、全く発酵に関係のない大手企業が医薬品に進出しており、日本農芸学会会員の殆どが微生物の作った有効成分の生産で菌を追いかけている。
4.新エネルギーと発酵について
微生物でエネルギーが作れるかであるが、ジャガイモの澱粉を分解して中和してブドウ糖にし、それをアルカリ性にして発酵させるとグリセリンを作る。それをニトロ化すると爆薬になる。米国はその発酵法で爆薬を製造した。これが微生物の効果である。日本も戦後飛行機の燃料に微生物を使って研究した。今一つは約400年前に富山県五箇の山の中でソバ殻、稲わら、麦藁、木の葉、鶏の糞等と人間の尿を発酵させて微生物の力によって爆薬を作っていた。微生物は非常に強いエネルギーを持っているのである。
また、炭化水素を発酵する菌が研究されており、この菌は有機物を体内に取り入れると、細胞の中に最大86%の炭化水素を蓄積する。
炭化水素はガソリンの類似物で、この菌を遺伝子工学や組換えによって生産活動が激しい菌に組み込むと、生ゴミから石油が発酵生産出来るのではと研究されている。一方、水素についてアメリカンサイエンスで驚くべき研究がされている。水を取り込む非常に酸化力が強い菌で、体内に水素を取り込み酸化するときに大きいエネルギーを出し、排出するのは水で完全に無公害で、水が循環して原料はいらない。バクテリアの世界にはすごく超能力微生物がいる。色を消してしまうものや、麻薬を喰ってしまうもの、血液しか食べない物など、
また酸素があると駄目なもの、120℃でしか生きられないもの等を利用すると凄いことができる。
これからは、エネルギーも発酵で解決の可能性がある。
5.食料と発酵について
我々は既に微生物を食べている。キノコを例にとると、キノコは微生物で食菌といって最初は見えないが、菌糸が固まってキノコという食べ物を作っている。微生物には蛋白質が豊富である。乾燥菌体で蛋白質が70%もある。この蛋白質を人間が喰うのではなく、年間1兆トンとも云われる落ち葉に喰わせて、その発酵物を動物に喰わせて、それを人間が利用するなどを考えると食料生産が微生物に頼るのはそう遠くない。これからは食べ物も微生物の世界になってくる。
6.環境と発酵について
環境で一番問題なっているのは生ゴミだが、FT革命では15年前からやっている。堆肥は完全に発酵しないと植物は根腐れする。昔は5年間かかったが、今は25日間で出来る。95℃から97℃で25日間発酵すると5年間のエネルギーの消費量に匹敵する。道内では浜頓別で行っている。
我々は、生ゴミとは云わない、家畜のふん尿も廃棄物とは云わない、それは資源だからである。資源となると国は金をだす、廃棄物というと廃棄物処理業者を支援することになることから国は金を出さない。
我々の方法は金がかからない。それは、農業者2人(酪農家でも可)と民間1人で農業法人を作り、町の生ゴミをチェーン循環型として土づくりの原料にする。ハザカプラントは100mのものが3億円弱するが、80%は国が出してくれる。20%は農林中央金庫が融資してくれる。融資分は町が生ゴミ処理代を出すので還元できる。出来た土を農家に無料で差し上げている。農業の再構築を考えた場合、資源として生ゴミの発酵処理しかない。ふん尿の海洋投棄も出来なく、埋め立てもキャパシテイがない。発酵した堆肥が肥沃だと誤解している面がある。有機農業でなく無機農業である。何故かと云うと有機物を無機物にして、その無機物の土を農業に使うからである。無機農業に対して肥料農業でないか。土を売る時代になったのでないか。発酵土壌が何故良いのか。それはミネラルが多いからである。例えば、亜鉛は遺伝子を作るし、痴呆症や情緒不安定、味覚障害に関係する。家畜のふん尿からこれらが出来るとすればすばらしい農業が構築される。生ゴミは有効な資源なのである。
7.食から展開する北海道の活性化について
北海道はFTでいろんなことが出来る。北海道は経済面で独立するくらいの気概が必要だ。例えば道内で消費する酢だが100%本州から来ている。このことは屈辱的に考えるべきでないか。北海道で採れる麦で麦酢を作ればよい。ヨーロッパではモルトビネガーかビールビネガーである。酢一つ考えてもなんで北海道で作らないのか。不思議である。ましてビール会社があり発酵文化があるではないか。
北の大地に大いに興味がある。北海道はワイン製造が盛んだが、この絞り残渣が大変な資源でないか。いろいろな物が出来るのが北海道でないか。
フィンランドと北海道を比較すると、フィンランドはIT産業では世界のナンバー1であり、北海道より人口の少ない国が1.4兆円の黒字で、北海道が2.6兆円の赤字の違いは相当研究する必要がある。若い人を派遣して徹底的に調査する必要があるし、若い人を登用すべきである。そのような感覚を持つべきである。
北海道の産業をFTによって進めるので有れば応援したい。
第89回例会講演要旨
去る7月14日(金)にフジヤサンタスホテルにおいて第89回例会が開催されました。当日は約60名の参加者によって、盛大に開催されました。まず、高尾HOBIA会長の挨拶の後、北海道大学大学院農学研究科助教授の浅野行蔵氏と北海道電力総合研究所の渡辺恭吾氏から「カナダ・アメリカのベンチャー企業の現状」、拓殖大学 北海道短期大学相馬 暁教授からは「農業のワン・ツー・スリー産業化〜21世紀・テッペンランドがおもしろい〜」と度して講演をいただきました。皆さんご存じのように、カナダ・アメリカのベンチャー企業の現状については、浅野、渡辺両氏による連載がHOBIA NEWSにありますのでそれをご覧いただくことにして、今回は相馬氏の諌演要旨のみ掲載いたします。
○農業のワン・ツー・スリー産業化 〜21世紀・テッペンランドがおもしろい〜